徴兵制を導入するなら全年齢層を対象にせよ |
陸上自衛隊出身の佐藤正久議員が、
「高校や大学を出て入隊した若者がこうした域に達するには、大体10年かかる。日本人の価値観に照らしても、徴兵制が受け入れられる土壌はない。」
とこう発言したそうだ。
だが世界の軍隊はどうであろう? 佐藤氏の言うとおりなら主力部隊は全員30代になっているはずだ。そんなことがあるだろうか? イラクに派遣されたアメリカ軍兵士の半数以上は20代前半だった。皆、12,000ドルの年次ボーナスと医療費無料という特権目当てにイラクに渡った。佐藤氏の言うとおりなら、彼らは全員使い物にならないはずだ。
そこで個人的な意見を述べる。
徴兵制を導入するなら年齢関係なく全世代からランダムで選出すべきである。「国防は若者の義務だ」などと勝手なことは言わせない。「徴兵でたるんだ若者を鍛え直せ」とも言わせない。日本では重大犯罪など問題行動を起こすのは中年以上の方が多いのだ。ぶったるんだ精神を鍛え直すならまず老人からである。
80歳の爺さんなら銃を持って砂漠を歩くのは無理でも最前線のミサイルが飛んできそうな基地でお茶くみぐらいはできるだろう。
そうだ。全年齢層から満遍なく徴兵しよう。そうすれば選挙で「どうせ戦争は若い奴らが行くもの」という身勝手な態度を取れなくなるはずだ。なんせ自分も戦場に送られ、砂漠の塵になるかも知れないのである。軽はずみな投票行動は取れなくなるはずだ。
そして「軍隊で鍛えれば一人前の男になれる」などという時代遅れの妄想からも脱却できることになる。世界の徴兵制を持つ国のニートの比率を見てみよ。日本よりはるかに高いのだ。
もちろん個人的に「俺は男を鍛えるんだ!」とばかりに自衛隊に入るのも自由である。自由は保障されねばならない。だがそうは思っていない者にまで勝手な妄想のもとで、戦場に人を送り込むことなどあってはならない。
曾野綾子氏が「未成年に奉仕活動の義務化を」と唱えたことがあった。曾野氏は極右である。一方、十数年ほど前、新潟の左派系団体が「徴ボランティア制」なるものを提案したことがあった。やはり若者を一定期間「強制労働」に従事させることになる。
戦争でなければいいだろう、そんな安易な考えが思想の左右問わず存在する。
これにも提案しよう。
「奉仕活動やボランティアを強要するなら、老人となった自分も強制収容所のような所へ送り込まれて、重労働を課せられる制度とせよ」
それでもいいと言うなら、そこまで覚悟があるのなら私も仕方ない、従うことにしよう。