2015年 10月 30日
自民党が歴史修正書籍を海外に送りつけている |
シノドスにまたわが目を疑うような記事が載った。
猪口邦子議員からいきなり本が送られてきた(山口智美/文化人類学・日本研究)
http://synodos.jp/politics/15387/2
猪口邦子議員からモンタナ州の山口氏の自宅にパッケージに入った書籍が届いたというのだ。その中にはレターと書籍が2冊同封されていた。
書籍はひとつは、呉善花『なぜ「反日韓国に未来はない」のか』(小学館新書2013)の大谷一朗氏による英訳版、もうひとつは産経新聞社『歴史戦—世紀の冤罪はなぜ起きたか』(産経新聞出版2015 古森義久監訳)ということだ。どちらも劣悪な韓国ヘイト本であり、歴史修正主義本である。
さて山口氏はここで疑問に思う。猪口氏はこれまで歴史修正主義的な発言はしてこなかった。アジア女性基金を通じて、その強制性はともかく、慰安婦問題を人権問題ととらえ、日本は歴史と向き合った、そう自分でも述べているのである。
だが前述の書籍はそんな内容ではない。韓国に対する徹底的な悪口雑言、慰安婦問題に関しては国際的認識として日本自らが発信した河野談話を真っ向から否定する内容だ。そもそも学術的な価値は無に等しい。いわば門外漢が書いた随筆の類いなのだ。真っ当な歴史学者が相手にするとは到底思えないほど程度の低い本でしかない。
そしてどうやらこれが自民党からおくられていることが山口氏の猪口氏への電話での問い合わせにより判明した。山口氏は自民党は「アメリカで歴史戦をしようとしている」ことを動機として挙げている。実際レターの中にはそれを思わせる記述もある。
だが日本はサンフランシスコ講和条約で戦争責任を全面的に認めている。この国際的な締約を根底から無視することができるのか?
「政府」としては認めている立場だが「自民党」としては認めていない、という言い逃れは通用しない。自民党は政権党のひとつであるからだ。海外からすれば「政府=政権党」であることは子供でもわかる。無理を言えば道理が引っ込むのは日本国内でしか通用しない悪習でしかない。
それに過去に認めた戦争責任を今になってひっくり返すことがどういう意味を持つことかわかっていないようだが、日本に対して放棄した戦争責任を追及してもよいということにも繋がるのだ。
慰安婦に関しては日韓基本条約で終戦以前の責任は韓国側が放棄したということで決着済みだ、そういう言い逃れもできなくなる。もうひとつある。日中国交正常化の際に中国側が約束した「戦時賠償の放棄」の締約も無効だということができてしまうのだ。
自民党の議員はこういうことまで考えに入れているのだろうか? どうも安倍政権の元、自分達の天下だと思い込んだタカ派議員たちの暴走に見えて仕方がない。
なお件の2冊を送りつけられた海外の歴史研究者たちの反応は一様に「呆れ」であるという。このような真似をしても、日本の国際的信用を損ない、嘲笑を浴びるだけだということが自民党議員には理解できないらしい。
こうした議員は常に「国益」という言葉を好んで使いたがるが、「国益」を真に害しているのはこうした愚かな議員連中である。
猪口邦子議員からいきなり本が送られてきた(山口智美/文化人類学・日本研究)
http://synodos.jp/politics/15387/2
猪口邦子議員からモンタナ州の山口氏の自宅にパッケージに入った書籍が届いたというのだ。その中にはレターと書籍が2冊同封されていた。
書籍はひとつは、呉善花『なぜ「反日韓国に未来はない」のか』(小学館新書2013)の大谷一朗氏による英訳版、もうひとつは産経新聞社『歴史戦—世紀の冤罪はなぜ起きたか』(産経新聞出版2015 古森義久監訳)ということだ。どちらも劣悪な韓国ヘイト本であり、歴史修正主義本である。
さて山口氏はここで疑問に思う。猪口氏はこれまで歴史修正主義的な発言はしてこなかった。アジア女性基金を通じて、その強制性はともかく、慰安婦問題を人権問題ととらえ、日本は歴史と向き合った、そう自分でも述べているのである。
だが前述の書籍はそんな内容ではない。韓国に対する徹底的な悪口雑言、慰安婦問題に関しては国際的認識として日本自らが発信した河野談話を真っ向から否定する内容だ。そもそも学術的な価値は無に等しい。いわば門外漢が書いた随筆の類いなのだ。真っ当な歴史学者が相手にするとは到底思えないほど程度の低い本でしかない。
そしてどうやらこれが自民党からおくられていることが山口氏の猪口氏への電話での問い合わせにより判明した。山口氏は自民党は「アメリカで歴史戦をしようとしている」ことを動機として挙げている。実際レターの中にはそれを思わせる記述もある。
だが日本はサンフランシスコ講和条約で戦争責任を全面的に認めている。この国際的な締約を根底から無視することができるのか?
「政府」としては認めている立場だが「自民党」としては認めていない、という言い逃れは通用しない。自民党は政権党のひとつであるからだ。海外からすれば「政府=政権党」であることは子供でもわかる。無理を言えば道理が引っ込むのは日本国内でしか通用しない悪習でしかない。
それに過去に認めた戦争責任を今になってひっくり返すことがどういう意味を持つことかわかっていないようだが、日本に対して放棄した戦争責任を追及してもよいということにも繋がるのだ。
慰安婦に関しては日韓基本条約で終戦以前の責任は韓国側が放棄したということで決着済みだ、そういう言い逃れもできなくなる。もうひとつある。日中国交正常化の際に中国側が約束した「戦時賠償の放棄」の締約も無効だということができてしまうのだ。
自民党の議員はこういうことまで考えに入れているのだろうか? どうも安倍政権の元、自分達の天下だと思い込んだタカ派議員たちの暴走に見えて仕方がない。
なお件の2冊を送りつけられた海外の歴史研究者たちの反応は一様に「呆れ」であるという。このような真似をしても、日本の国際的信用を損ない、嘲笑を浴びるだけだということが自民党議員には理解できないらしい。
こうした議員は常に「国益」という言葉を好んで使いたがるが、「国益」を真に害しているのはこうした愚かな議員連中である。
by leftwing63
| 2015-10-30 09:00
| 社会(国際)