鼻をつまんで自民党 |
「前民主党政権には失望したかも知れない。だが今の時代に安保関連法を廃止させ、大規模事業優先でない国民のための税金の使い道を探る方法は下野した民主党にしか残されていない。民主党が嫌いな人もここは我慢して民主党に入れてはくれないだろうか?」
民主党政権が嫌いでも、今の自民党のやりたい放題を止めるのは民主党しかないので、ここは、
「鼻をつまんで民主党」
に投票して欲しい、という意見である。
民主党政権時代にそれでは左派的な政策があったか? 私には子ども手当以外に思いつくものがない。あとは新自由主義的な政策ばかりを打ち出してきた。新自由主義はガチガチの「経済右翼」である(唯一評価した子ども手当も、ピント外れな批判に負けて骨抜きにされてしまった)。
そして秋頃から共産党が野党に声を掛けた。
「安保など、意見の異なる事項は凍結してもいいから、今は一致団結して野党がひとつになり安倍政権をまず倒そうではないか。異なる政策のすり合わせはそれからでもいい」
だが民主党はよほど共産嫌悪が強いらしく、結局この共闘は実現しなかった。共産党は次の参院選で候補者を取り下げてまで、党是としている条項まで凍結してでも自民を倒そうとしているらしい。あの頑なだった党が随分変わったものである。
しかし民主党にはこれに応える姿勢は見られない。党幹部が次々「共産嫌い」を口にする。それどころか前原氏のように共闘を呼びかけてきた相手を「シロアリ」呼ばわりする者もいる。
一方自民党には右翼ゴロツキのようなゲス議員もいるかわりに、穏健保守の謂わば社民主義的な思想の議員も多くいる。そうした議員は安倍政権には苦々しい思いをしているのだろうが、表向きは挙党一致で進んでいる。
おそらくは、安倍政権も永久に続くわけではなく、やがて自分達の出番が来ることを想定しているのだろう。
ところが日経の記事によると、産別労組連合系の金属労協はベアを半分に減らして要求するそうである。あの右翼的な安倍政権が「賃金上げろ」と言っているのに、何をトチ狂っているのか? そしてその連合がとにかく「徹底して支持する」とした相手が民主党なのである。
早い話、民主党などには何も期待はできない。だからこそ選挙では「入れる党がない。安倍の思想は気に入らないところもあるが仕方ない」とばかりに自民党が大勝してしまう。実際、朝日新聞の世論調査では、安倍政権の積極的支持は減少しているが、消極的支持が増加しているので、支持率としては下がらないそうなのだ。
つまり有権者にとっては、民主党はあまりに無能で魅力がないからこそ、
「鼻をつまんで自民党」
になっているのである。このことに気がつかず、ひたすら「共産嫌い」だけでみすみす選挙に勝てるチャンスを潰し続ける民主党に何も望めない。もはや消えてくれて、新たな有力野党の誕生を待ったほうがマシである。