2016年 06月 15日
「改憲論」財政規律についての問題を突く |
自民党によると改憲の優先順位は「緊急事態条項」「環境権」「財政規律」の順番だそうである。
「緊急事態条項」はかつての独裁国の例を見ればその危険性がわかる。多くの論者も指摘しているので、ここはあまり問題視されていない「財政規律」について述べてみよう。
結論から言うと、憲法に財政規律条項が設けられると、必要な時に条件を満たしていないということで財政出動ができなくなる可能性がある。そしてこれが景気回復の足を引っ張り、国の経済の針路を大きく誤らせてしまう危険性を孕んでいる。
たとえていえばEUである。ユーロ参加国の条件の中に財政出動のためには、財政赤字(純粋債務ではなく、債務から資産を引いたもの)をGDPの3%以内に抑えることという条項があるのだ。つまり不況になり、税収減となると赤字幅が大きくなり、これが一定基準を超えると、本来経済活性化のためにしなくてはならない財政出動などができなくなってしまうのだ。
実際ギリシャやイタリアなどがこのような問題で困っている。
景気が浮揚している時は財政出動しやすくなるが、逆にそんな時こそ国は財布の紐を固めねばならない。景気は変動する。やがて不況となる時も来よう。そんな時に起爆剤としての財政出動ができなくなれば経済は負のスパイラルに陥る。
日本人は借金をするような景気の悪い時は財布の紐を締めねばならないとする財政規律指向が強い国民性だけにバブル崩壊後の景気回復を遅らせてしまったといえる。世界の主要国で、90年代から財政の苦しい国はいくつもあったが、経済成長できていないのは日本だけだ。精神主義的論調を好む国民風土が景気回復の足を引っ張ったのだ。
9条などの改正には反対の人にも、この「財政規律」の条項は案外すんなり受け入れられてしまう危険性がある。
勘違いをしている人が多いが、財政というのは税収が多い時は国がお金を出す必要性は低い。放っておいても経済は回っていくからである。
しかし不況ともなると、今度は経済が自力で立ち直ることは困難になる。こうした時に財政出動が必要となるのだ。神の見えざる手などに頼っていてはいけないのだ。
民進党がこの後、どのような主張をするのかは現時点ではわからないが、民主党だった時代は財政規律が大好きだった。1,000兆円の債務があるからと、緊縮財政論に走った。事業仕分けなどはその典型である。
また民主党と手を組んだ維新も分裂前はみんなの党の流れを汲むネオリベ色の強い政党であった。従って財政規律を憲法に盛り込むことへの危険性を認識できていない可能性もある。
こうして見ると返す返す民主党政権時代に社会民主主義政党の社民党が離脱したことは悔やまれる。社民党は普天間問題の一点だけの意見の相違で、政権を離脱してしまったのだ。イデオロギー至上主義というか、連立政権の意味がわかっていないというか、幼稚な政党である。
民進党は財政均衡にこだわらず、財政規律条項は日本経済のためにならないと、はっきり指摘するべきだ。
「緊急事態条項」はかつての独裁国の例を見ればその危険性がわかる。多くの論者も指摘しているので、ここはあまり問題視されていない「財政規律」について述べてみよう。
結論から言うと、憲法に財政規律条項が設けられると、必要な時に条件を満たしていないということで財政出動ができなくなる可能性がある。そしてこれが景気回復の足を引っ張り、国の経済の針路を大きく誤らせてしまう危険性を孕んでいる。
たとえていえばEUである。ユーロ参加国の条件の中に財政出動のためには、財政赤字(純粋債務ではなく、債務から資産を引いたもの)をGDPの3%以内に抑えることという条項があるのだ。つまり不況になり、税収減となると赤字幅が大きくなり、これが一定基準を超えると、本来経済活性化のためにしなくてはならない財政出動などができなくなってしまうのだ。
実際ギリシャやイタリアなどがこのような問題で困っている。
景気が浮揚している時は財政出動しやすくなるが、逆にそんな時こそ国は財布の紐を固めねばならない。景気は変動する。やがて不況となる時も来よう。そんな時に起爆剤としての財政出動ができなくなれば経済は負のスパイラルに陥る。
日本人は借金をするような景気の悪い時は財布の紐を締めねばならないとする財政規律指向が強い国民性だけにバブル崩壊後の景気回復を遅らせてしまったといえる。世界の主要国で、90年代から財政の苦しい国はいくつもあったが、経済成長できていないのは日本だけだ。精神主義的論調を好む国民風土が景気回復の足を引っ張ったのだ。
9条などの改正には反対の人にも、この「財政規律」の条項は案外すんなり受け入れられてしまう危険性がある。
勘違いをしている人が多いが、財政というのは税収が多い時は国がお金を出す必要性は低い。放っておいても経済は回っていくからである。
しかし不況ともなると、今度は経済が自力で立ち直ることは困難になる。こうした時に財政出動が必要となるのだ。神の見えざる手などに頼っていてはいけないのだ。
民進党がこの後、どのような主張をするのかは現時点ではわからないが、民主党だった時代は財政規律が大好きだった。1,000兆円の債務があるからと、緊縮財政論に走った。事業仕分けなどはその典型である。
また民主党と手を組んだ維新も分裂前はみんなの党の流れを汲むネオリベ色の強い政党であった。従って財政規律を憲法に盛り込むことへの危険性を認識できていない可能性もある。
こうして見ると返す返す民主党政権時代に社会民主主義政党の社民党が離脱したことは悔やまれる。社民党は普天間問題の一点だけの意見の相違で、政権を離脱してしまったのだ。イデオロギー至上主義というか、連立政権の意味がわかっていないというか、幼稚な政党である。
民進党は財政均衡にこだわらず、財政規律条項は日本経済のためにならないと、はっきり指摘するべきだ。
by leftwing63
| 2016-06-15 09:00
| 社会(経済)