炎上参加者とネトウヨの奇妙な共通点 |
2014年11月の田中氏らの調査によると、ネットの炎上にはその事実は知っている人が92%にのぼるものの、75%の人が、炎上している記事などを見たことがなく、書き込んだことがある、炎上に参加したことがあるという人は全体の1.1%にしかならなかった。
そのうち、2回以上書き込んだ人は0.6%と、実に微々たる数字で、ネットの炎上という事件は、きわめて少数の者が何度も書き込んで発生させていることが明らかになった。
そして炎上に参加する動機としては「正義感」というのもなんとも言えぬ複雑さを感じさせる。私が以前から批判してきた「ジャスティス・ハイ」に陥っている連中がこうした炎上行為を行っているのだ。
もちろん炎上にも悪い意味のものばかりではない。たとえば政治家が差別発言やヘイト発言などをすると、すぐさまに批判が殺到して炎上状態になる。これは世間の「良識」というものを政治家に伝えるという面において意味があることだと思っている。
企業のブラック体質を批判するのも意味のあることだ。
それでも「炎上」という言葉には負のイメージがつきまとう。それは熊本地震の時などに、寄付金を出した、あるいは出さない、不幸自慢、売名行為などと言って、著名人たちをバッシングの標的にした例を知っているからである。このような炎上はどう考えても健全な行為ではない。
ネットの状況に精通している研究者が懸念しているのは、まさにこうした不健全な炎上である。
こうした炎上に参加する人たちの傾向として、若者や学生は少なく、社会人に多い。また年収もそれなりに高い層が行っている傾向があるということだ。
年収が高い社会人となれば、ある程度年齢が高いことが当然予想できる。つまりうっかりすると勘違いしそうだが、リテラシーの低いと思われている「厨房」などは炎上にはあまり参加していないのだ。
これはある傾向と一致する。そう、ネトウヨだ。
ネトウヨというのも、以前は底辺層の若者が主流だと思われていた。だがその後、ヘイト発言などを書き込んだ年齢層をYahoo!などが調査した結果、40代あたりが中心であることが判明した。
収入もそれなりに得ている層であるという。つまり人生の「勝ち組」もしくは「やや勝ち組」あたりが、ネトウヨになったり、有名人ツイートを炎上させたりするわけだ。
確かにネトウヨの文章を見てみると、「自己責任」「生活保護叩き」「在日外国人叩き」など、弱者を叩く姿が目に付く。これはまさに自分が安全圏にいることを前提にしているからできることなのだろうと思われる。
だが強者による弱者叩きは非常に不愉快なものだ。有名人の不快な言動を見ても、いちいちそれに過剰反応するべきものか、そこを冷静になって判断した方がいい。炎上は書いた人は鬱憤が晴れるかも知れないが、読んでいる人の多くは不愉快な思いをしているのだ。