町山氏のSEALDs遊離論には賛成できない |
「SEALDsは自分達がエリートの代表になってしまった」
「SEALDsより下流に属する若者には、貧困対策こそが最優先で、思想の世界で政治に走るSEALDsは別世界の人間に思える」
「格差問題を核にすれば巨大な流れを作れた」
だが私は町山氏の意見には反対である。
というのは若者は町山氏や年配者が思っているほど貧困に苦しんでなどいない。
以前にも何度か述べたが、若者の非正規労働は増えてはおらず横這いである(若者の非正規労働は増えていない)。
また非正規のうち、不本意非正規のみを問題にすべきである。自分から望んで非正規になった者は社会の犠牲者とはいえないからだ。そして若者の不本意非正規は減少傾向にあるのだ(若者への思いは通じない もう放っておこう) 。
将来的に非正規で苦しむことになるかも知れないが、現時点において、若者は現状の経済・雇用・賃金・地位に満足しているといえるのだ。
つまり若者にとって何が一番怖いかというと、「今の楽しい生活が変化によって壊されてしまうこと」なのである。要するに若者の希望は「現状維持」なのである。
(安倍政権が改憲案を出してきた時、現状維持の希望がそのまま叶うかというと疑問ではある。だがそこにまで考えが及ばないところが若者ならではの未熟さなのだろう)
SEALDsは現状を改革しようとした、だから多数のB層的若者はこれに興味を持たなかったのである。反発したわけではない。反発したのはネトウヨやネット愚民ぐらいのものだ。若者の大多数の本音は「無関心」なのだ。
「格差問題を核にすればSEALDsは巨大な流れを作れた」というのも間違いだ。
実は若年層のうちは、正規・非正規の間にさほどの賃金格差はない。ここで年収を比較してみよう。20代前半でいえば、非正規250万に対し、正規320万である。2~3割ほど非正規は低いが、労働時間の短さや責任の軽さを考えれば、この差は許容できるものだろう。
逆に格差が問題になるのは中年層である。50代前半がこの格差が最大になる世代で、非正規320万に対し、正規710万である。その比率は倍以上にのぼる。格差に対して不満を述べるのなら中高年こそが真っ先に立ち上がるはずなのだ。
これは若年層に自民支持が多く、中高年に野党支持が多かったこととも一致する。
つまり若者がSEALDsに興味を持てなかった理由はほかでもない。日常の生活が幸せに感じているから、そうした政治運動に関わる必要性を感じなかった、それだけのことなのだ。