ゲンダイの「ヒラメ」指弾は正確な記事だった |
その記事とは2015年11月19日付けの「日刊ゲンダイ」の記事である。この記事のタイトルは過激だ。
『そこまでやるか安倍政権! 沖縄「代執行」訴訟でヒラメ裁判官投入』
この訴訟を国が起こす18日前の10月30日に、突然福岡高裁那覇支部の人事異動があり、それまで行政訴訟で国に厳しい判決を出してきた須田啓之裁判官を多見谷寿郎裁判官にすげ替えたのだ。
多見谷は行政訴訟をいくつも経ているがそのほとんどで国寄りの判決を出してきた典型的な「ヒラメ裁判官」なのである。
まず訴訟を起こすわずか18日前の人事異動というのが偶然にしてはできすぎている。
国が訴訟を起こして真っ先にゲンダイがこの点を指摘したのは、司法関係者からすると当然のことのようだ。
これについては元大阪高裁判事の生田暉雄弁護士は「おそらく那覇支部の人事は国が必ず勝つための布石」とし、また「今の司法は独立しておらず、行政の一部と化している」と強い口調で批判している。
さらに作家の黒木亮氏は、「国が勝つことは決まっている」とすでに出来レースであることを指摘した上で、その人事の不透明さにも言及している。
さて、この問題は単に沖縄の基地だけの話ではないのだ。
行政訴訟を起こされて国が危うい立場に置かれた時、権力者はヒラメ裁判官を人事異動で持ってくれば、強引に国側勝訴の判決に持ち込めるという前例にもなるのだ。
中学の「公民」の授業では、「日本は三権分立を敷いており、立法権と行政権と司法権は、それぞれが独立した機関である」と教えている。
しかしながら、こうした国の立場を脅かす訴訟や、多額の賠償を請求される恐れのある訴訟では、司法は三権分立の大原則などまったく無視し、国にベッタリと寄り添った判決を出す。またそうした判決を出すように人事を左右することを示してしまったのだ。
これで中学生にどうやって社会科の学習をしろなどと偉そうに語ることができるのか?
かつて拙ブログは何度も日本の司法制度の腐敗を指摘して批判してきた。はっきり言うが、日本の三権分立など絵に描いた餅である。
しかも上級審に向かうほど、出世した「ヒラメ裁判官」が居座っているので、なおさらに国寄りの判決が出るのだ。
この国の憲法はすでにこの点からして骨抜きにされている。海外の裁判所が、国の都合など知ったことかと、日本では考えられないような住民勝訴の判決を当然のように出すのを見ると、この国は何か根本的なところが狂っているとしか思えない。