2016年 09月 23日
抽出検査は突出した危険を発見できない |
まず最初に訂正と謝罪をしなくてはならない。私は「福島原発事故に関しては、関東まで不安がる必要はないだろう」との記載をしてきた。だが今年の5月、宇都宮市立横川西小学校の給食に出たタケノコから基準の1.3~2.3倍の放射性セシウムが検出された。そしてこのタケノコの産地は同県北部であり、出荷制限区域であった。
つまり関東においても、健康基準を超える放射性物質は検出されたのである。こういうこともあることを認めて、ここに訂正する。
ここで学校側は委託して月に1回、抽出検査を実施していた。そこで汚染が判明したのである。抽出検査というのは、平均値を調べる時などには有効だ。
抽出調査として有名なものには視聴率調査がある。
「あれは数百件の率を調べているだけだから正確でない」
という人は統計というものを知らない人だ。数百万の傾向調査をする時には、数百件のサンプルを調べればその傾向は概ね正確に計れるものである。サンプルを数万件にしても精度が若干上がるだけで、100倍の労力を使う見返りとしては小さい。
2013年8月12日、高知県江川崎で41.0℃という最高気温の日本記録が出た。
気象庁のHPから歴代最高気温の記録を見ると、上位20位のうち12個までが2000年以降に出ており、8個までは過去10年以内の記録である。
これは近年が特に高温が出るようになったためではない。観測の頻度が大きくなったためである。90年代までの記録は気象官署を除き、アメダスは毎正時1時間ごとの値である。つまり14時00分に記録した値の次は15時00分までなかったのだ。それが10分値を扱う時期を経て、現在は1分ごとに観測している。
つまりは1994年8月8日にかつらぎで記録された40.6℃は13時00分にたまたま記録された数字なのだ。この前後に江川崎の記録を上回った数字があっても記録には残らない。2007年8月16日の多治見40.9℃は江川崎に次ぐ日本2位の記録だが、これは10分値である。これも前後に江川崎の記録を超えていた公算は大きい。
すなわち昔のアメダスの記録は「抽出調査」、現在の記録は「全数調査」となる。
江川崎が日本記録を作った日に記録した正時の最高値は39.9℃である。もし十数年前ならこの「抽出調査」では日本記録から遠い記録として忘れられるだろう。
宇都宮のタケノコは月に1回の抽出調査にひっかかった例なのだ。ということはそれ以外の食品に基準を大きく超えるものが紛れ込んでいた可能性も大きいといえるのだ。
私が「関東ならまず安全だろう」という発言を撤回した理由もここにある。目の粗い抽出調査で異常値が発見された場合、それよりはるかに大きな異常がすり抜けていた公算を考えねばならない。
東京豊洲の市場移転先の地下水からはヒ素と六価クロム、ベンゼンが検出されたが、それは健康被害基準以下のものであった。また最近、シアンが検出されたとの報告もある。
だがこれは「たまたま」調査した時の数字なのだ。一部にはこれをもって「全然問題ない」という意見も見られるが、これらは「抽出調査」である。天候やその時の地盤の状況によって変動もあるだろう。よって「抽出調査」で基準以下だからといって、これから先も、どんな場所も、安全であるとは言い切れない事実があるのだ。
つまり関東においても、健康基準を超える放射性物質は検出されたのである。こういうこともあることを認めて、ここに訂正する。
ここで学校側は委託して月に1回、抽出検査を実施していた。そこで汚染が判明したのである。抽出検査というのは、平均値を調べる時などには有効だ。
抽出調査として有名なものには視聴率調査がある。
「あれは数百件の率を調べているだけだから正確でない」
という人は統計というものを知らない人だ。数百万の傾向調査をする時には、数百件のサンプルを調べればその傾向は概ね正確に計れるものである。サンプルを数万件にしても精度が若干上がるだけで、100倍の労力を使う見返りとしては小さい。
2013年8月12日、高知県江川崎で41.0℃という最高気温の日本記録が出た。
気象庁のHPから歴代最高気温の記録を見ると、上位20位のうち12個までが2000年以降に出ており、8個までは過去10年以内の記録である。
これは近年が特に高温が出るようになったためではない。観測の頻度が大きくなったためである。90年代までの記録は気象官署を除き、アメダスは毎正時1時間ごとの値である。つまり14時00分に記録した値の次は15時00分までなかったのだ。それが10分値を扱う時期を経て、現在は1分ごとに観測している。
つまりは1994年8月8日にかつらぎで記録された40.6℃は13時00分にたまたま記録された数字なのだ。この前後に江川崎の記録を上回った数字があっても記録には残らない。2007年8月16日の多治見40.9℃は江川崎に次ぐ日本2位の記録だが、これは10分値である。これも前後に江川崎の記録を超えていた公算は大きい。
すなわち昔のアメダスの記録は「抽出調査」、現在の記録は「全数調査」となる。
江川崎が日本記録を作った日に記録した正時の最高値は39.9℃である。もし十数年前ならこの「抽出調査」では日本記録から遠い記録として忘れられるだろう。
宇都宮のタケノコは月に1回の抽出調査にひっかかった例なのだ。ということはそれ以外の食品に基準を大きく超えるものが紛れ込んでいた可能性も大きいといえるのだ。
私が「関東ならまず安全だろう」という発言を撤回した理由もここにある。目の粗い抽出調査で異常値が発見された場合、それよりはるかに大きな異常がすり抜けていた公算を考えねばならない。
東京豊洲の市場移転先の地下水からはヒ素と六価クロム、ベンゼンが検出されたが、それは健康被害基準以下のものであった。また最近、シアンが検出されたとの報告もある。
だがこれは「たまたま」調査した時の数字なのだ。一部にはこれをもって「全然問題ない」という意見も見られるが、これらは「抽出調査」である。天候やその時の地盤の状況によって変動もあるだろう。よって「抽出調査」で基準以下だからといって、これから先も、どんな場所も、安全であるとは言い切れない事実があるのだ。
by leftwing63
| 2016-09-23 09:00
| 社会(教育・学問)