2016年 10月 19日
梅毒増加に見る反知性と差別視 |
最近、梅毒が増加しているとの記事が週刊誌を中心に見られるようになった。梅毒の患者数は2000年代前半に500人台まで下がっていたが、2005年あたりから増加に転じ、最近3年間では約3倍という急増を示している。
なぜ梅毒が急増しているのか?
これについてははっきりとした原因を公的機関は発表できていない。なぜなら今の段階では「わからない」からだ。
そして反知性と差別はこうした「わからない」領域から広がってくる。特に病気などはその傾向が現れやすい。感染する病気でもないのに感染するからと言って患者を遠ざける、遺伝する病気でもないのに誰それは血筋が悪い、などという形でである。
この梅毒に関してもいい加減に憶測した記事が三流メディアでは満載だ。
特に小学館系列の週刊誌、特に週刊ポストやSAPIOなどの右派的な週刊誌は、いわゆるアジア蔑視がひどいのでこの梅毒の原因は中国観光客の増加にあると書いている。
またこの小学館の週刊誌は「LINEによる出会いが増加の原因」とも書いているのだ。一方、同性愛者間での性行為が増加の原因という説も大きくネットに流布している。性的少数派が市民権を得たため、梅毒が広がったと吹聴しているのだ。だいたいが差別的な掲示板だ。
となれば頭のスカスカな煽情的ブログは「中国のせいだ、LINEのせいだ、ホモのせいだ!」とばかりに飛ばし記事を書き連ねてしまう。
しかしこれらは根拠がないのだ。というのは次のリンク先を見てもらえばわかる。
性感染症報告数の年次推移
性別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
これはいい加減な週刊誌のアホ記事とは違い、厚生労働省が実際に把握した数字である。もちろん暗数もあるだろうが、それは現在に限ったことではない。したがって数字の推移はこれを見れば、おおかたの傾向はつかめるはずだ。
というわけでその推移を見てみると、増えているのは梅毒だけなのだ。
淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマなどが掲載されているが、いずれの性病も横這いか減少している。
中国の人口あたり梅毒の患者数は日本の10倍とも30倍とも言われるが、実は淋病もクラミジアも同じ規模で多い。ならば中国観光客が原因であれば、これら別の性感染症も増えていなくてはおかしいのだ。同じことはLINEにも同性愛にも言える。
つまり梅毒の増加は、中国観光客の増加、LINEという新しいコミュニケーションツールの普及、同性愛の市民権と相関はあるが因果関係は証明できていないのである。私が以前から言っている「相関関係と因果関係は異なるものだ」ということである。
ここに見えるのは中国という異国への蔑視と、LINEという年配者の知らない世界でのコミュニケーション方法への恐れ、さらには多数を占める異性間セックスとは違う同性愛者への偏見などである。こうしたものを悪者に仕立て上げることで、どこか自分の世界は健全だと再認識したがっているようにも思える。
なぜ梅毒が急増しているのか?
これについてははっきりとした原因を公的機関は発表できていない。なぜなら今の段階では「わからない」からだ。
そして反知性と差別はこうした「わからない」領域から広がってくる。特に病気などはその傾向が現れやすい。感染する病気でもないのに感染するからと言って患者を遠ざける、遺伝する病気でもないのに誰それは血筋が悪い、などという形でである。
この梅毒に関してもいい加減に憶測した記事が三流メディアでは満載だ。
特に小学館系列の週刊誌、特に週刊ポストやSAPIOなどの右派的な週刊誌は、いわゆるアジア蔑視がひどいのでこの梅毒の原因は中国観光客の増加にあると書いている。
またこの小学館の週刊誌は「LINEによる出会いが増加の原因」とも書いているのだ。一方、同性愛者間での性行為が増加の原因という説も大きくネットに流布している。性的少数派が市民権を得たため、梅毒が広がったと吹聴しているのだ。だいたいが差別的な掲示板だ。
となれば頭のスカスカな煽情的ブログは「中国のせいだ、LINEのせいだ、ホモのせいだ!」とばかりに飛ばし記事を書き連ねてしまう。
しかしこれらは根拠がないのだ。というのは次のリンク先を見てもらえばわかる。
性感染症報告数の年次推移
性別にみた性感染症(STD) 報告数の年次推移
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0411-1.html
これはいい加減な週刊誌のアホ記事とは違い、厚生労働省が実際に把握した数字である。もちろん暗数もあるだろうが、それは現在に限ったことではない。したがって数字の推移はこれを見れば、おおかたの傾向はつかめるはずだ。
というわけでその推移を見てみると、増えているのは梅毒だけなのだ。
淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマなどが掲載されているが、いずれの性病も横這いか減少している。
中国の人口あたり梅毒の患者数は日本の10倍とも30倍とも言われるが、実は淋病もクラミジアも同じ規模で多い。ならば中国観光客が原因であれば、これら別の性感染症も増えていなくてはおかしいのだ。同じことはLINEにも同性愛にも言える。
つまり梅毒の増加は、中国観光客の増加、LINEという新しいコミュニケーションツールの普及、同性愛の市民権と相関はあるが因果関係は証明できていないのである。私が以前から言っている「相関関係と因果関係は異なるものだ」ということである。
ここに見えるのは中国という異国への蔑視と、LINEという年配者の知らない世界でのコミュニケーション方法への恐れ、さらには多数を占める異性間セックスとは違う同性愛者への偏見などである。こうしたものを悪者に仕立て上げることで、どこか自分の世界は健全だと再認識したがっているようにも思える。
by leftwing63
| 2016-10-19 09:00
| 社会(差別)