張本さん、これでも大谷の二刀流はダメですか? |
「二刀流など野球を舐めている。打者大谷はまったくダメだ」
と述べ、大谷に投手一本に絞っていくべきと、二刀流を完全否定した。
さて北海道日本ハムファイターズが日本シリーズ進出を決めた16日の一戦、大谷はリリーフで登板。最高165km/hの日本新記録つきでセーブをあげ、日ハムのシリーズ進出に貢献した。
先日私は大谷の速球を「スピンが少なく棒球」と表現したことにカチンとこられた方もいるだろうが、大谷の160km/hはとりあえずバットに当てることはできる。
往年の速球投手として名をはせた尾崎、山口高志、江川、小松、藤川などの全盛期、速球は高めにくると打者はバットに当てることができなかった。これは強烈なバックスピンがボールにかかっていたためである。
一方大谷の速球にはそのような威力はない。これは与田、由規、クルーンなどと似ている。
だが速いということは武器である。フォークを織り交ぜると大谷は面白いように三振を取った。スピードだけが投球でないのと同じく、速球で三振を取るだけも投球ではない。大谷のピッチングはこれでいいのである。
そして大谷は投手成績として防御率1.86、10勝をあげた。
打者大谷も張本氏がいうような悪い打者には思えない。基本的には中距離ヒッターにも思えるが、それでも22本塁打している。
そして打率も3割を超え、一時は「防御率と首位打者の2冠という前代未聞の大記録が出るのではないか?」とさえ言われた。
そこが二刀流の残念なところで、大谷は打席、投球回数ともわずかに規定数に届かず、無冠に終わったが、それでも最終成績は、
打率.322(382打席)、本塁打22、打点67、得点65
防御率1.86(140投球回)、10勝4敗、奪三振174
と堂々たる成績を残しているのだ。ちなみに大谷が規定打席・投球回数に達していたとすると、打率は2位、防御率は1位となる。こんな選手がほかにいただろうか?
かつてプロ球界には打者および投手として成績を残した選手もいた。だがそれは投手から打者に転向したなどのケースに限られ、大谷のように同じ時期に打者として投手として、それぞれ一線級の成績を残した選手は例がない。
学業の優秀校はスポーツが苦手、あるいはその逆などと決めつけるのは、人間を勝手に枠の中にはめてしまうことにほかならないのと同じように、大谷に「打者か投手かどちらか一本に絞れ」などと、小さな枠にはめてしまうのはあまりに惜しい。
そして今年の成績を見て張本氏にあらためて問う。
「この成績を見ても、それでも大谷の二刀流はダメですか?」