トランプはなぜ親ロシアなのか? |
さて私も時に同意、時に疑問なことを書く相手、ジャーナリスト冷泉彰彦氏によるとトランプは、
「ヒラリーが大統領になると第三次世界大戦を起こしかねない」
と述べたそうである。
これはただの炎上商法ではなく、ある意味正しいのだ。
というのもアメリカは他国に直接的にせよ間接的にせよ介入するのは「親米政権」を作りたい時だからだ。親米政権ができればその国とも経済的な結びつきが強くなり、アメリカが率先してその利権を手にできる。
ロシア、パキスタン、イラク、イラン、アフガニスタン、リビア、シリアなど、アメリカの批判に晒された国はどこも反米か、もしくはアメリカと距離を置きたがっている国である。さすがにロシアに介入することは無理だが、その他の国は小国なので介入しやすい。
事実、アメリカは中南米の左派政権を倒す時に、CIAをはじめ、その国の反政府勢力に援助をしてきたのだ。
ところがシリア情勢となるときな臭くなる。というのもイスラム国打倒という目的は同じでも、それがシリア政権を親米政権にしたいアメリカと、現在の政権のまま維持したいロシアでは最終的な目的が違う。アメリカがロシアを非難するのは、シリア政権を温存したいと思っているからだ。
となると中東では仮にアメリカとシリアが偶発的にでも武力衝突にでもなった場合、ロシアが介入してくる可能性がある。そうなるとアメリカ対ロシアの戦争の火種になりかねない。その状況を作ったのはオバマ大統領であり、オバマを引き継ぐヒラリーはこの戦争を起こしかねない。
トランプが最も重要視しているのはアメリカ国内の安全である。つまりイスラム国によるテロを防げればそれでよいのだ。
トランプはロシアとはその面で協力関係を築けると考えている。イスラム国を打倒すれば、あとはシリアのアサド政権が何をしようとアメリカの知ったことではない。アサド政権が強権的だとしても、民主化を求めるのなら、シリア国民の手で政権を打倒してくれ、トランプの本意はこんなところだろう。
実際にアメリカが介入して政権が倒れたイラク、アフガニスタン、リビアではその後の混乱は独裁者がいた時以上にひどいものとなっている。これらの国にはロシアは興味を持たなかったのでアメリカの思うとおりにことが進んだが、シリアではそうはいかない。あまりにもシリア問題に首を突っ込みすぎるとトランプの主張する、
「ヒラリーが大統領になると第三次世界大戦を起こしかねない」
ということになる。
トランプのいう介入外交の終わりは、味方を作ろうとして余計な敵を作りかねないこれまでのアメリカの政策を批判していると考えると、そうした方向性もあるのではないかなと思わされる。