2015年 08月 22日
自衛隊への意識を巡っての疑問 |
私はしばしば左派ブログと意見が相違する。そのひとつが天皇制である。一部の左派は天皇制自体に否定的である。だが現在の皇族からは「憲法を遵守する」などというきわめて常識的な言葉しか出てこないし、社会福祉先進国でもある左派的な国のスウェーデンやオランダも王制を持っている。
日本の国際社会へのアプローチとして、天皇が出席することは、思想に偏りが出やすい政治家が出るよりも有益なことだと考えている。
そしてもうひとつが自衛隊である。
さすがに「自衛隊を廃止しろ!」という声は少ないが、それでも左派の中には残っている。世界には軍隊のない国も多いが、そんな国でも沿岸警備隊や国境警備隊は持っている。交戦権というと物騒だが、警察権の行使は独立国に当然認められるべき権利である。
もちろん自衛隊に問題が多いことは認めている。いじめや高い自殺率などで自衛隊はしばしば批判の対象となっている。暴力装置にこうした問題がつきものなのは日本だけの、また自衛隊だけの問題ではないが、それでも少しずつでもこれらは解決していかなければならない問題だろう。
内閣府が今年の3月に発表した数字によると、自衛隊に対して良い印象を持っていると答えた人は92.2%と過去最高になったそうだ。東日本大震災での救助活動が大きくイメージを押し上げたのは間違いないだろう。一方、急落した年がある。1991年、湾岸戦争の年である。不思議なことに軍組織とも言える自衛隊の人気は戦争のような大きな世界不安があると下がるのだ。
とはいえ、自衛隊の好感度は50%を下回ったことは過去一度もない。昔から自衛隊の印象は良いのだ。
「J婚」という言葉があるらしい。自衛隊員との婚活という意味である。私はこの手の話は「カープ女子」などと同じく、少し割り引いて考えるものだが、確かに女性が自衛隊員との結婚を望む率は上がっているようだ。
となると不可解なこともある。
J婚を望む女性に「自分の子供には将来、どんな職業に就かせたいか?」と問うと「一般の公務員」との回答が多いのだ。自衛隊員も公務員には違いないが、彼女らのイメージする公務員は市役所や学校などに勤務する公務員である。
なぜ「自衛隊員」ではないのだろう?
また各地で自衛隊基地というのは迷惑施設扱いされているのも不思議な話だ。官民共用空港というのが日本にはいくつかある。民間空港と自衛隊基地が同居している例だ。こうした地域では民間の航空会社が撤退するという話になると猛反対が起きる。自衛隊基地だけが残るのは嫌だというのだ。
さらに不思議な例を挙げよう。与那国島では中国や台湾との国境を持つため、自衛隊の駐留を認めるか否かの住民投票が行われた。その結果はご存じの方も多いだろうが賛成60%、反対40%で賛成派が多数を占めた。
だが、この60%という数字は先の自衛隊への好感度92.2%に比べると随分と低い値だ。与那国島は国境を接している。尖閣諸島は中国や台湾も領有権を主張している。いわば軍事対立の最も際立った地域とも言える。だいたいにおいて八重山は右派的な思想が強い。それでも自衛隊の駐留に賛同する人は60%にとどまっている。
こうして考えると、日本人の自衛隊好きは、「どこか遠くにある組織」であることに理由があるように思える。それが現実問題として自分の町に来るとなると、途端に軍組織としての負のイメージが持ち上がってしまうのだろう。
日本の国際社会へのアプローチとして、天皇が出席することは、思想に偏りが出やすい政治家が出るよりも有益なことだと考えている。
そしてもうひとつが自衛隊である。
さすがに「自衛隊を廃止しろ!」という声は少ないが、それでも左派の中には残っている。世界には軍隊のない国も多いが、そんな国でも沿岸警備隊や国境警備隊は持っている。交戦権というと物騒だが、警察権の行使は独立国に当然認められるべき権利である。
もちろん自衛隊に問題が多いことは認めている。いじめや高い自殺率などで自衛隊はしばしば批判の対象となっている。暴力装置にこうした問題がつきものなのは日本だけの、また自衛隊だけの問題ではないが、それでも少しずつでもこれらは解決していかなければならない問題だろう。
内閣府が今年の3月に発表した数字によると、自衛隊に対して良い印象を持っていると答えた人は92.2%と過去最高になったそうだ。東日本大震災での救助活動が大きくイメージを押し上げたのは間違いないだろう。一方、急落した年がある。1991年、湾岸戦争の年である。不思議なことに軍組織とも言える自衛隊の人気は戦争のような大きな世界不安があると下がるのだ。
とはいえ、自衛隊の好感度は50%を下回ったことは過去一度もない。昔から自衛隊の印象は良いのだ。
「J婚」という言葉があるらしい。自衛隊員との婚活という意味である。私はこの手の話は「カープ女子」などと同じく、少し割り引いて考えるものだが、確かに女性が自衛隊員との結婚を望む率は上がっているようだ。
となると不可解なこともある。
J婚を望む女性に「自分の子供には将来、どんな職業に就かせたいか?」と問うと「一般の公務員」との回答が多いのだ。自衛隊員も公務員には違いないが、彼女らのイメージする公務員は市役所や学校などに勤務する公務員である。
なぜ「自衛隊員」ではないのだろう?
また各地で自衛隊基地というのは迷惑施設扱いされているのも不思議な話だ。官民共用空港というのが日本にはいくつかある。民間空港と自衛隊基地が同居している例だ。こうした地域では民間の航空会社が撤退するという話になると猛反対が起きる。自衛隊基地だけが残るのは嫌だというのだ。
さらに不思議な例を挙げよう。与那国島では中国や台湾との国境を持つため、自衛隊の駐留を認めるか否かの住民投票が行われた。その結果はご存じの方も多いだろうが賛成60%、反対40%で賛成派が多数を占めた。
だが、この60%という数字は先の自衛隊への好感度92.2%に比べると随分と低い値だ。与那国島は国境を接している。尖閣諸島は中国や台湾も領有権を主張している。いわば軍事対立の最も際立った地域とも言える。だいたいにおいて八重山は右派的な思想が強い。それでも自衛隊の駐留に賛同する人は60%にとどまっている。
こうして考えると、日本人の自衛隊好きは、「どこか遠くにある組織」であることに理由があるように思える。それが現実問題として自分の町に来るとなると、途端に軍組織としての負のイメージが持ち上がってしまうのだろう。
by leftwing63
| 2015-08-22 07:25
| 社会(国民)