2015年 09月 17日
週休2日は増えているのに労働時間が減らない謎 |
まず下のページの、企業規模別の完全週休2日制実施状況を見てもらいたい。このグラフには1994年までしか掲載されていないが、完全週休2日制の企業が激増していることはよくわかる。
完全週休二日制実施率の推移
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/nenkan/df15.html
この資料は「1996年版日本労働年鑑第66集」によるもので、資料では大企業と中小企業の格差を問題にしているが、ここでは完全週休2日制移行への経年変化という面でとらえてみる。
実は「週休2日制」といっても、それだけでは土日に必ず休めるというものではない。月に1回だけ土曜休日でも名目上は「週休2日」を名乗っていいからである。
毎週、土日が休日になるのは「完全週休2日制」という制度である。
勘違いをしている人が多いが、学校が土曜休校・週休2日になったのは児童・生徒の負担を減らすという目的ではない。欧米から日本の長時間労働が、競争の上でアンフェアだと指摘され、完全週休2日制への移行を強く迫られた。そこでまず公務員が率先して完全週休2日にしなくてはならないと、学校現場でも職員である教師の完全週休2日を実施するために、土曜休校が実施されたのである。
日本の労働環境は公務員に準ずる傾向があるので、公務員が休みを多く取ればそれは民間へも波及する。事実、公務員が完全週休2日制へと移行した1992年以降、完全週休2日制は激増した。上記グラフでも特に小規模事業所において1992年を境に激増したことが明確である。
さて、完全週休2日制の目的は「年間労働時間を1,800時間以内に収める」ことであった。ところが2013年の非正規を除く正規社員・正規公務員の年間平均労働時間は2,021時間である。1985年の2,003時間から減るどころか逆に増えている。一方では週休2日、完全週休2日は広まっているのだ。この矛盾はどこから生まれるのか?
ひとつには時短分を残業で補うという考え方である。多くの企業は週休2日に移行しても、その業務量は減らさなかった。余分に人を雇うという発想もない。
「とりあえず土曜日を休みにしてみました」
といった程度の週休2日移行だったことがあげられる。また労働者側も「長時間働くことこそ仕事熱心に見える」とばかりに、時短に積極的でなかった傾向もあげられる。
そして最もあってはならないことだが、週休2日は題目でしかなく、実際には休日出勤が常態化しているというケースだ。
こうしたケースの数字は表面的には現れにくいため、みなさんの周囲を見ていただくしかないが、実際このケースは少なくないと思われる。
日本は週休2日の徹底だけでは駄目で、次なる目標は「年間労働時間1,800時間」を設定するべきである。もちろんこの時には「サービス残業」などという、これも数字に現れない抜け口は完全に封鎖しての話である。
完全週休二日制実施率の推移
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/nenkan/df15.html
この資料は「1996年版日本労働年鑑第66集」によるもので、資料では大企業と中小企業の格差を問題にしているが、ここでは完全週休2日制移行への経年変化という面でとらえてみる。
実は「週休2日制」といっても、それだけでは土日に必ず休めるというものではない。月に1回だけ土曜休日でも名目上は「週休2日」を名乗っていいからである。
毎週、土日が休日になるのは「完全週休2日制」という制度である。
勘違いをしている人が多いが、学校が土曜休校・週休2日になったのは児童・生徒の負担を減らすという目的ではない。欧米から日本の長時間労働が、競争の上でアンフェアだと指摘され、完全週休2日制への移行を強く迫られた。そこでまず公務員が率先して完全週休2日にしなくてはならないと、学校現場でも職員である教師の完全週休2日を実施するために、土曜休校が実施されたのである。
日本の労働環境は公務員に準ずる傾向があるので、公務員が休みを多く取ればそれは民間へも波及する。事実、公務員が完全週休2日制へと移行した1992年以降、完全週休2日制は激増した。上記グラフでも特に小規模事業所において1992年を境に激増したことが明確である。
さて、完全週休2日制の目的は「年間労働時間を1,800時間以内に収める」ことであった。ところが2013年の非正規を除く正規社員・正規公務員の年間平均労働時間は2,021時間である。1985年の2,003時間から減るどころか逆に増えている。一方では週休2日、完全週休2日は広まっているのだ。この矛盾はどこから生まれるのか?
ひとつには時短分を残業で補うという考え方である。多くの企業は週休2日に移行しても、その業務量は減らさなかった。余分に人を雇うという発想もない。
「とりあえず土曜日を休みにしてみました」
といった程度の週休2日移行だったことがあげられる。また労働者側も「長時間働くことこそ仕事熱心に見える」とばかりに、時短に積極的でなかった傾向もあげられる。
そして最もあってはならないことだが、週休2日は題目でしかなく、実際には休日出勤が常態化しているというケースだ。
こうしたケースの数字は表面的には現れにくいため、みなさんの周囲を見ていただくしかないが、実際このケースは少なくないと思われる。
日本は週休2日の徹底だけでは駄目で、次なる目標は「年間労働時間1,800時間」を設定するべきである。もちろんこの時には「サービス残業」などという、これも数字に現れない抜け口は完全に封鎖しての話である。
by leftwing63
| 2015-09-17 01:21
| 社会(労働・福祉)