「萌え」に過剰に媚びるのはやめたほうがいい |
実は「のうりん」の舞台は岐阜県美濃加茂市である。美濃加茂市からすればご当地アニメなので人気に便乗したいという思惑があったのだろうが、萌えキャラ、それも性的魅力を全面に押し出すキャラクターをもってきたのがまずかった。ただの女子高生ならこんな騒動にはならなかったはずだ。三重県志摩市で同様な騒動があったことを知らなかったわけでもあるまいに。
こうしたポスターにはTPOというものが大切になる。その場の雰囲気にあっているかどうか?という面である。オタク街の店に貼っても、誰も文句を言わないキャラでも、駅の広告スペースに貼ればクレームが出る場合は当然あるだろう。
私は「表現規制に反対」の姿勢を明確にしているが、あくまでもTPOをわきまえての話だ。学校の掲示板にアダルト映画のポスターが相応しくないのと同じである。アダルト映画はあってもいいと思うが、学校には不適切だ。
日本のPCゲームやアニメには「艦隊これくしょん」や「ガールズ&パンツァー」「刀剣乱舞」といった作品があって人気だ。戦艦や戦車や刀剣を擬人化して美少女や美少年に置き換えた作品である。そしてこれらはすべて「萌え」なのだ。「刀剣乱舞」は女性向けだが、萌えを女性向けにしただけのものだ。こうしたものは日本でしか通用しない。海外には萌えを狙う文化など存在しない。
また日本でも「萌え」は一部のマニア向けの文化だ。家庭用ゲームでもPS Vitaなどではこうした作品がたくさん出ているが、どれも数万本以下の売り上げでしかない。ポケモンや妖怪ウォッチ、モンスターハンターのように数百万本を売るような広がりを持っているわけではないのである。
要するにオタクという狭い世界から出てきた「萌え」を強調することは外国人観光客はもちろん、日本人観光客の大部分にも訴えかけるものは少ない。そこを自治体側も理解すべきだろう。
何度も言うが、私は表現規制には反対である。
安倍政権叩きのために、謂れのない「萌え」バッシングに同調するような動きには先にも批判を加えたばかりだ。
だが「萌え」を好むのはあくまでも少数派であることも理解した方がいい。ましてやセクシュアルな表現を含むものは大衆の目に映し出すときには注意が必要だ。
(一部訂正・追加しました12/8)