コロコロ変わる医学常識に戸惑う |
私が驚いたのは「半身浴はNG!」ということだった。確か20年から30年ほど前までは、風呂の湯船に入るときは、肩まで浸からず、胸あたりまで湯に入るのがベストだ、と聞かされていた。それも俗説などではなく、同じようにテレビ番組などでいっぱしの医学者が出演して語っていたのである。要するに数十年前まではとっぷりと湯に浸からず、半身浴の状態で十分だと言っていたのだ。
それが180度ひっくり返っているのだから参ってしまう。それまで健康に良いと思ってやってきた人からすれば「どうしてくれるんだ!」と怒りも湧いてくる。
ダイエットにも半身浴が良いと言われていたのも事実だ。ところがこれはネットで検索してみると、
「半身浴の時代は終わった」
というタイトルとともに「実は効果的な入浴法は全身浴なんだよね」などとしれっと書いているのだ。もう何がなんだかさっぱりわからない。そもそも「時代」によってダイエットの効果は変わるなんておかしいじゃないか?
ちなみに昔はテレビ番組に出ていた医学者が、
「風邪をひいた時は、足浴が良い。裸になってやや熱めのお湯に足を沈める。上半身には汗を吸うためのタオルをかぶると良い」
と言っていたのも思い出す。実はこれも今では効果がないとされているそうだ。
私が子供の頃、歯みがきは歯ブラシを半分回転させるように、縦に磨け、そうすれば歯と歯の間の歯垢がきれいに取れる。そう言われてきた。学校でもその磨き方を奨励していた。これは今でもはっきりと記憶に残っている。
ところがそれから10~15年ほどしたら、言うことがコロッと変わった。
「歯ブラシをしっかり握って、ゴシゴシと強く磨けば歯垢は取れる」
などと言いはじめたのだ。それまでの10年余はいったいどうしてくれるのだ?
と新たな歯みがき法を実践していたら、それからさらに10年ほどして理想とされる磨き方がまた変わったのである。
「歯ブラシは箸を持つほどの強さで握り、やさしく磨くのが良い」
おいおい、いい加減にしてくれ。たかだか数十年の間にどれだけ常識が変わるんだよ…。もうこちらの頭も混乱してきてしまう。
こうなってくると、今の理想とされる磨き方も「本当に正しいのか?」と疑心暗鬼になってしまう。また10年、20年もすると常識がコロッと変わってしまうのではないかと思えてしまうのだ。
予防接種の有効性についてかつて記事にしたこともあったが、文科省がインフルエンザ接種を義務接種から外したのも、その効果が疑わしいからというのは事実らしい。インフルエンザ予防接種はいまだに諸説あって素人には結論が出せないが、有効派も無効派も、接種者のことなどどうでもよく、ただ持論のためだけに論争をしているようで厄介極まりない。
義務接種から外れて、接種には相当な金額がかかるようになってしまっている。まずは医学には素人の人を第一に考えてはくれないか?
またこうしたあてにならない医学常識の変化と付き合うには、比較的安全路線を自ら選択するしかなさそうである。