「熊本地震」の直後に早くも悪質デマ乱舞 |
14日の夜に起きた「平成28年(2016年)熊本地震」は、M6.5という中程度の地震であったが、都市近郊で起きたこと、さらには震源が浅かったこともあり、最大震度7を記録し、被害も甚大なものとなった。死傷者も多数出て、最大時で数万人以上が避難生活を送ることとなり、熊本は1世紀ぶりの震災に見舞われたことになる。16日未明に再び熊本地方でM7.3の地震があった。「熊本地震」より大規模なため、これが本震である可能性がある。現在までのところ、経緯がどうなるか予測がつかない。
もちろんこうした地震被害を心配する声が多数であるのは確かなのだが、そんな中で、とても冗談ではすまされないぞ!と言いたくなるようなデマが多数飛び交っている。まことに嘆かわしい。しかもそのほとんどがネットを媒介してのものである。東日本大震災あたりからこうしたネットを介在した悪質デマが爆発的に増えている気配がある。
まずは匿名掲示板での「八代で震度8の地震発生」。そもそも震度8などという震度階級はない。これだけでデマなのだが、火事が起きているところにさらに油を投げ込んで騒ぎを大きくして楽しもうといわんばかりの、実に嫌な感じのするものである。信じられないことにこれには1,000件以上もの書き込みがあったというから、相当に拡散されているようだ。気象庁の地震速報を見ればすぐにデマとわかることだ。こんな奴は相手にしてはいけない。
あとは「川内原発で火災発生」というツイート。
あきらかな愉快犯である。熊本と川内原発はかなりの距離がある上に、実際に地震で原発が火災にでもなったら、天地がひっくり返るほどの大騒動となり、マスコミも殺到するに違いない。常識的な判断があれば混乱は避けられる。なおこのデマを流したアカウントの持ち主は「熊本城の石垣が崩れて下敷きになり119ができない」などというデマも流している。迷惑を通り越してここまでいくと犯罪的だ。真に受けた人が119番などに電話すると緊急通報に支障をきたす恐れもある。
「動物園のライオンが逃げ出した」という画像つきのデマも出回っている。これも愉快犯だろう。だがこれも外への避難をためらう人がでる危険性もある迷惑きわまりないデマである。
そして「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」という、関東大震災まんまのデマまで登場した。「熊本では朝鮮人の暴動に気をつけてください」「火事場泥棒を狙ってくる不届な国がすぐ近くにありますから」という差別意識があからさまに出たデマも多数存在する。
これらのデマにはネット愚民らしき者から擁護の声がある。「ネタだとわからない方が情弱」というものだ。冗談ではない。平常時でさえこの手の差別は許されないレベルのものなのに、災害時に便乗して差別デマをふりまき、しかも居直っている奴などは地獄へ落ちればいい。
しかしどうしてネットはこうも、バカの発信場になってしまったのか? これといった有効な抑止方法が見つからないのも腹立たしいところである。