なんでも「安倍のせい」では良くないという例 |
心の病で労災請求をした人が、安倍政権になってから3年連続で増え続け、過去最多の1500人以上!
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/8c2f0f1215b5a7a4b785e24227dc50b6
いやいや、このグラフを見ると、精神疾患で労災請求をした人の数は安倍政権の3年どころか、ここ10年、右肩上がりで増加しているではないか。これは民主党政権時代も同じである。精神疾患での労災請求は安倍政権であることとは無関係に増え続けているのだ。
このブログ主、宮武氏が反安倍の立場であることはわかるが、これを根拠に安倍政権を批判するのはいささか無理があるだろう。
労働者派遣法を改悪し、派遣労働を恒久化しようとしているという指摘も、それ自体は間違いない。
だが、実際に日本では非正規労働者のうち、不本意非正規労働の数は減少し、非正規労働を望む人の数や比率が増えているのだから、これと精神疾患の増加を結びつけるのには説得力として弱い。
なぜ不本意非正規が減っているのか? それは「長時間労働や転勤などの責任を伴う仕事をしたくない」と考える人が増えたからである。つまり責任の軽い非正規労働者が精神疾患になるまで働かされるということは逆に少ないだろう。
また「申請者の陰には何倍、何十倍もの心の病気の方がいらっしゃる」というのも、現在に限った話ではない。犯罪でいうところの「暗数」に相当するだろうが、
「犯罪は減っている」
という主張に対して、
「いや、表に出ない犯罪がたくさんある」
というのは反論として意味がない。昔だって表に出ない犯罪はたくさんあったはずだからだ。
むしろ問題にすべきなのは、このブログ内ではサラッと流されているだけに過ぎない、「労災認定された人が昨年より25人減少した」という面であろう。明らかに労災認定の壁が高くなっているからだ。
ではなぜ、精神疾患の労災請求が増え続けているのか? これが日本社会に連綿と続く、「他人の足を引っ張りあい」という行為の結果であると考える。
自分より恵まれた待遇は許せない、と思う心が、「みんなで苦しもう」という社会に繋がっていったのだと考えた方がしっくりくる。
それにしても、「月80時間以上の残業」や「2週間以上の連続勤務」を強要されながら、申請の1/3以下しか労災認定されないというのは、日本の労働行政の立ち遅れを感じさせる。そここそがこのブログが指摘するべきことだったのだ。