北海道の都市の衰退に絶望的な気分になるが… |
北海道という土地が、札幌に代表されて人気が高いのだ。
そういう私もしばしば北海道を訪れる。理由は簡単で観光だ。私も北海道は好きなのだ。
ところがそんな北海道を旅行していると感じることがある。それが地方都市の衰退だ。札幌はまだ繁栄しているが、これが函館市とか釧路市とかに行くと、若い頃に行った時と比べ、活気の衰弱に驚かされるのだ。
20歳頃に釧路を旅して、三色丼などを食べて回った時、釧路の市街地はまだ活気があった。当時から繁華街と駅前は少し離れてはいたが、人通りも多く、20万都市の風格というものを肌で感じ取ったものである。ただ道路が広すぎて街が分断されている感は当時からあった。
それから時が経ち、久しぶりに釧路を訪れるとこの街の繁華街はすっかり寂れていたのだ。とにかく歩いている人が昔に比べ、格段に減ったのである。
地元の人に聞いてみると、もうかなり前から釧路の街は下降線をたどっており、イオン、しまむら、トイざらすなどがロードサイドに建ち並ぶ昭和町に人出は取られてしまった、と嘆いていた。
釧路の人口は現在約17.5万人。確かに昔に比べると減少はしているが、街の寂れぶりは、そんな人口の下げ幅などでは説明がつかないほどのものであった。
函館もそうだった。昔は港に隣接する駅は風情のある駅舎で、路面電車が走り、駅前のゴミゴミした雰囲気はむしろ都市の活気を感じさせるものだった。
その函館駅はすっかり近代的な建物に新調され、見てくれは立派できれいになったが、駅前の人の数は明らかに減っていた。しばらく街を歩いてみたが、「こんなに地味な街だったかな?」と思わせるくらいに暗い雰囲気だったのだ。
函館市は郊外化とともに中心商業地域が北東へと移動し、陸繋島部分は衰退の一途をたどっているらしい。今も函館といえば観光名所の印象が強いが、その足元の繁栄は郊外化のもとでかなり危ういものとなっている。
逆の例がある。愛知県豊田市を訪れた時のことだ。世界のトヨタのお膝元、車社会の権化とされるこの街にはもはや市街地の賑わいなど無縁だろうと思っていた。事実、JRは走っていない。私鉄が2社走っているだけだ。その私鉄も名古屋から向かうと優等列車はまったく走っておらず普通電車ばかりである。名鉄三河線など単線だ。
ところが駅前に出て驚いた。大きなショッピングビルが並び、歩く人でいっぱいだったのである。
「これが本当に自動車会社の城下町か?」と思わせるほどに中心街は賑わっていた。
なんでもトヨタ自動車は社員に公共交通機関の積極利用を勧奨しているらしい。
いろいろ町作りを模索する動きがあるが、なかなかうまくいかない場合が多いだろう。それに対する施策のひとつは「公共交通の結節点をどううまく利用するか?」ということがあるように思える。