2016年 12月 01日
独裁は貧困にまさる支持を取りつける |
キューバのカストロ氏が死去したことについて、評価は大きく分かれる。というか同一人物が評価しても、カストロ氏の評価は定まらないのだ。
かたやキューバに社会主義体制を敷いて支配者の座に君臨した独裁者。もうひとつが貧しいキューバをそれでも飢餓や疫病から救った英雄。
こうしたものはいずれも事実であり、他者が評価すべきものではないのかも知れない。
シンガポールはアジア有数の先進地域であるが、一方では「明るい北朝鮮」と言われるほど政治的自由が束縛された社会でもある。個人の道徳にまで政治が口をはさみ、反対者には苛烈な刑事罰が科される。
シンガポールの発展の原動力となったリー・クアンユー氏が死去したのは昨年のことだった。
ハッカ(客家)の中国系一族の子孫であるリー氏は1965年にシンガポールを都市国家として独立させると、徹底的な独裁体制と、それによる政府介在のインフラ整備により一躍アジアの先進地域に躍り出た。いわゆる「開発独裁」の典型ともなる事例である。
それではシンガポールには選挙というものはないのかというとそんなことはない。むしろ投票が義務づけられている世界でも少ない例に入る国だ。選挙は常に与党に有利に運ばれ、選挙区の併合や離散など、与党に優位に運ぶよう決定された。
つまり選挙制度はあれども、事実上与党が勝つように仕組まれているのだ。一部の独裁国で行われる監視付きの形だけの選挙があるが、シンガポールも似たようなものだ。
もし与党が票を減らせば、その地域はインフラ整備を遅らされたりという報復行為も常態化している。日本にもそういう面はあるが、シンガポールはさらに露骨だ。
リー家は政治経済のあらゆる分野に手を伸ばしており、韓国財閥よりも露骨にシンガポール経済を支配している。
つまりシンガポールという裕福な国は「リーさん一家」によって切り盛りされている家業型国家といってもいい。
それなのに「人権外交」をうたうアメリカは何も言わない。安倍首相は「価値観外交」という言葉を使い、「自由と民主主義を共有する国と親交を深めていきたい」と述べたが、全然その基準に達していないシンガポールを批判することもない。
それはシンガポールが豊かだからだ。金を持っていればいくら独裁であっても、外国からは批判されないし、自国民も率先して民主化運動をしようとも思わない。
ロシアのプーチン大統領はコワモテで、その手腕も強硬という。支持者による白色テロもあると言われている。社会主義から離れた後も何かと西側とは対立することの多い指導者だが、国の経済を立て直したことは事実なので国民からの支持も相変わらず高い。
独裁でも経済的に潤っていれば国民はその強権的な手法には目をつむってしまう傾向がある。
キューバは貧しい国だったがカストロ氏が社会福祉に力を入れたため、特に医療分野での躍進はめざましく、平均寿命はアメリカを上回るほどになっているのだ。
こうした国で民主勢力が勝つためには、それ以上の経済的効果を上げる政策を主張しなくてはならない。独裁国家がどうしてもなくならない一面にはこうした理由もあるということだ。
独裁の危険な面は「バカが指導者になった時」なのである。
かたやキューバに社会主義体制を敷いて支配者の座に君臨した独裁者。もうひとつが貧しいキューバをそれでも飢餓や疫病から救った英雄。
こうしたものはいずれも事実であり、他者が評価すべきものではないのかも知れない。
シンガポールはアジア有数の先進地域であるが、一方では「明るい北朝鮮」と言われるほど政治的自由が束縛された社会でもある。個人の道徳にまで政治が口をはさみ、反対者には苛烈な刑事罰が科される。
シンガポールの発展の原動力となったリー・クアンユー氏が死去したのは昨年のことだった。
ハッカ(客家)の中国系一族の子孫であるリー氏は1965年にシンガポールを都市国家として独立させると、徹底的な独裁体制と、それによる政府介在のインフラ整備により一躍アジアの先進地域に躍り出た。いわゆる「開発独裁」の典型ともなる事例である。
それではシンガポールには選挙というものはないのかというとそんなことはない。むしろ投票が義務づけられている世界でも少ない例に入る国だ。選挙は常に与党に有利に運ばれ、選挙区の併合や離散など、与党に優位に運ぶよう決定された。
つまり選挙制度はあれども、事実上与党が勝つように仕組まれているのだ。一部の独裁国で行われる監視付きの形だけの選挙があるが、シンガポールも似たようなものだ。
もし与党が票を減らせば、その地域はインフラ整備を遅らされたりという報復行為も常態化している。日本にもそういう面はあるが、シンガポールはさらに露骨だ。
リー家は政治経済のあらゆる分野に手を伸ばしており、韓国財閥よりも露骨にシンガポール経済を支配している。
つまりシンガポールという裕福な国は「リーさん一家」によって切り盛りされている家業型国家といってもいい。
それなのに「人権外交」をうたうアメリカは何も言わない。安倍首相は「価値観外交」という言葉を使い、「自由と民主主義を共有する国と親交を深めていきたい」と述べたが、全然その基準に達していないシンガポールを批判することもない。
それはシンガポールが豊かだからだ。金を持っていればいくら独裁であっても、外国からは批判されないし、自国民も率先して民主化運動をしようとも思わない。
ロシアのプーチン大統領はコワモテで、その手腕も強硬という。支持者による白色テロもあると言われている。社会主義から離れた後も何かと西側とは対立することの多い指導者だが、国の経済を立て直したことは事実なので国民からの支持も相変わらず高い。
独裁でも経済的に潤っていれば国民はその強権的な手法には目をつむってしまう傾向がある。
キューバは貧しい国だったがカストロ氏が社会福祉に力を入れたため、特に医療分野での躍進はめざましく、平均寿命はアメリカを上回るほどになっているのだ。
こうした国で民主勢力が勝つためには、それ以上の経済的効果を上げる政策を主張しなくてはならない。独裁国家がどうしてもなくならない一面にはこうした理由もあるということだ。
独裁の危険な面は「バカが指導者になった時」なのである。
by leftwing63
| 2016-12-01 09:00
| 政治・選挙・行政