中国に吸収され枯渇するアニメ界の自業自得 |
http://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20161231/Searchina_20161231025.html
これはサーチナの記事である。
サーチナといえば、Yahoo!に「ヘイトスピーチを引き寄せる炎上商法」と判断され、掲載を打ち切られたメディアである。そんなサーチナにしては意外なほど中国推しの記事を掲載した。
これは想像だが、中国にアニメの優秀なブレインを引き抜かれているため、中国を横取りする国家と印象付けたい旨があったのだろう。「パクリ疑惑」などの表現にそれが見て取れる。
しかしこの記事の中心であろう右寄りの読者にも「これは中国が正しいわ、日本アニメ界ブラック過ぎ」と書かれるくらいの意外な反応が起きている。
サーチナの真意がどこにあったとしても、まず「パクリ」は中国に限らずどこの国でも黎明期には行われていることである。日本も戦前や戦後しばらくは漫画の中でディズニーアニメのパクリを当然のように行っていた。「ライオンキングがジャングル大帝のパクリ」などと文句を付けるより、まず自分の過去を振り返るべきだ。
久美薫氏が日本アニーメーション業界のブラック待遇を指摘したのは一昨年のことだった。その反応は早速返ってきた。アニメ業界やアニメオタクから猛反発を受けたのである。
その前にNHKがアニメ業界のブラックぶりを「NEWS WEB」で公開し(2015年4月放映)、その過酷さが話題となった。この時も「NHKは動画担当の数字をあたかもアニメ界全体の問題のように取り上げた」とアニメブラック界を擁護する意見が相次いだ。だがこれは言いがかりである。というのもちゃんと画面上に「動画」と表示されていたからだ。NHKは嘘や誇張を行ったわけではない。
アニメ界からの反発は、拙ブログで過去に介護職や保育職の低賃金を指摘すると、関係者から反発されることと似ている。アニメ界で発言力があるのは有名クリエイターであり、金銭的にも余裕のある者である。またアニオタがブラック待遇を擁護するのは「自分の大好きな世界がブラックであって欲しくない」という妄想的希望からだろう。
だが中国にアニメ業界が次々引き抜かれている、その背景に「日本での待遇の悪さ」があることを指摘されているのは、日本アニメ業界がブラック待遇であることの何よりの証拠である。
アニメ労働者のハンティングが行われているのは労働界のエントロピー増大であり、必然的なことである。こうして日本アニメが衰退に向かっても、以前から何度もあった待遇改善の機会を見ぬふりをしてきた日本アニメ界の自業自得であることはもう疑いがない。