都市の没個性化を示す魅力ランキング |
こんな手法では選抜する都市によって最下位にもできるし首位にもできる。私はこの手法はまったく間違ったものであることを示した。
昨年後半「地域ブランド調査2016魅力度上位100市区町村ランキング」というのが発表された。これは全国全自治体1,741市区町村を対象に、その魅力をランクしたものである。全自治体で比較すれば各自治体の魅力度がわかるというものだ。
地域ブランド調査2016_魅力度上位100市区町村ランキング
http://tiiki.jp/news/wp-content/uploads/2016/10/2016_city_ranking1.pdf
1位は函館、2位は京都、3位札幌と上位には見事なまでに観光都市が並ぶ。知名度の高い東京区部を含めると、観光都市でないのは25位の仙台くらいまで下がる。そして名古屋は26位だ。この調査では上記8都市のうち最下位は大阪になるが、名古屋市が行ったアンケートでは7位なので大きな違いではない。
つまり名古屋は自治体の魅力度でいえば1,741人中26位にあたる超上位成績なのだ。どこが「魅力がない」「嫌われている」になるのか? マスコミの無知による飛びつきには呆れるばかりである。
ところで日本には政令指定都市が計20市ある。ほぼ人口70万人以上の大都市ばかりだ。そしてそのうちさいたま、千葉、川崎、相模原、新潟、静岡、堺、岡山、北九州の9市はベスト100にも入っていないのだ。
都市が大きければ施設も多く、訪れる人も多いはずなのになぜこれら大都市はランキングから漏れたのだろうか?
これらの都市に共通することは「個性がない」に尽きるのだ。特に首都圏の衛星都市群はどこを切っても金太郎飴状態で、なにか特徴を、と聞かれても答えようがない。新潟といっても雪国というイメージはわくが都市の魅力は?と聞かれても答えようがないのだ。
こうした都市の没個性化は大都市の衛星都市だけで見られるものではなく、モータリゼーションが進んだ地方に共通する問題である。
上位に位置する観光都市も、過去のネームバリューで地位を保っているケースも多い。函館などは私が以前、憧れていたのにその駅前の静寂ぶりに残念な思いをしたことを述べた。観光地と思われる町も、無秩序な肥大化が進めば、次第にそのイメージを損なっていく恐れがある。