「不正受給はカス」がなぜ炎上案件となったのか? |
謝罪会見もどことなく傲慢な感覚があり、本当に反省している気があるのか、と思う会見場の様子であったのが気になるが。
さて、生活保護の不正受給はもちろんNGであることは間違いない。これをもって「言ってることは正論じゃん」などとほざくネット愚民どもがいるが、こいつらにはジャンパーにこういうことを書くことの何が問題なのかがまったくわかっていない。つまりは鈍感であり、想像力に欠ける、人間としての良識に欠ける「カス」なのだ。
例を挙げて言おう。
外国人観光客が日本を訪れる時、日本はどのように迎えるだろう? 「Welcome!」と出迎えるのではないか? 観光地に来た途端、「不正入国はカス」など書いてあったら、観光客の神経を逆撫ですることになる。
電車に乗る時、改札に「キセル乗車客はカス」などと大々的に制服に書いてある鉄道会社など利用したいとも思わない。
生活保護受給のうち、不正受給は1%にも満たないといわれる。つまりは圧倒的多数の人が真面目な受給者なのだ。いや、日本では生活保護を受けることに対しての抵抗が強いといわれる。それには生活保護というのは敗者の称号、税金に依存することへの抵抗が大きいのだろう。
よって小田原市の行為は、ただでさえ受けることができるはずの生活保護をためらう人へのさらなる圧力になりかねない。
小田原市にその意図があったかどうかはわからないが、こうしたジャンパーを着ることは、生活保護を請求することへの牽制になりなねず、いわば形を変えた「水際作戦」ともいえる。
すでに他界している私の母は若い頃、生活苦から生活保護を申請したことがあった。母は相当の抵抗があったらしく、申請するのにも何日も悩んだそうである。理由は上に述べたとおりだ。
そして実際に申請したら市の職員にまるで人間ではないかのような罵倒を浴びせられ、ついにはブチ切れた母はその職員の顔に書類をぶつけて激怒しながら立ち去ったそうである。
生活保護というとすぐ脊髄反射的に不正受給と変換されるのは、行政がそういう目で見ていることが原因だ。この意識を変えない限り、ジャスティス・ハイに簡単に舞い上がるネット愚民に糞便のような飼料を投下するだけだ。