東京弱体化案は愚の骨頂 |
まずアメリカの有名大学が地方にしかないなどというのは錯覚だ。確かに大都市以外にも有名大学が存在するところは日本とは異なるが、これには歴史的経緯が絡んでいる。
つまりもともと地方との繋がりがあったがために、地方で大学が成果をあげているといった実状を踏まえないと、山本大臣のような短絡的な発言になってしまう。
東大をはじめ日本の旧帝大が有名なのは、それなりの歴史の積み重ねであり、大都市にあったのはその背景に過ぎない。
有名大学を地方に強制的に移せば地方が発展するというものではない。地方から魅力的な誘致活動がない限り、いくら大学を移転させても発展することはない。要するに発想が逆なのだ。
この問題に限らずだが、日本の一極集中を解消するために、地方を発展させようというのではなく、東京を弱体化させ、地方の相対的な地位を上げようとする動きがあるのには首を傾げざるを得ない。
はっきり言ってしまうと、いくら東京の地位を強引に引きずりおろしても、すでにシャッター街化した地方都市が再生することはあり得ない。今の地方に残された手法は、すべてのものがその地方の一極に集まるように仕組みを変えることだ。
もっともいけない都市の作り方が分散型だ。
駅前から車で20分走って市役所につき、そこからまた車で15分走って市民病院、さらに車で30分も走らないと買い物ができるショッピングセンターにたどり着かないなどという都市計画が間違いなのだ。
大都市圏でも大学などは都心回帰が起き始めているが、これには合理的な理由がある。それはなんといっても交通の利便性である。
この事実から目を背け、大都市を疲弊させて地方を発展したように見せかけようとしても、それは国力を削るだけで、誰の得にもなりはしない。